「こんてにゃあ」シリーズは、「金型＋射出成型」によって作られている、プラスチック（ＡＢＳ）製の組み立てモデルであることは「その�@」で記した通り。
金型の凹みに溶かしたプラスチック材料を流し込み、材料が冷えて固まったら金型から成形品を抜き出して作られます。

もちろん、固まった後の成形品を金型から抜かなければならないわけですから、金型に彫られた穴が奥の方が大きかったり、中で張り出した部分があると、成形品は抜けません。
それだけでなく、ここで問題になるのが「金型面に対して垂直になっている成形品は抜けない」ということです（？）。
通常、成形品を金型から抜くときは、金型の面：基準面に対して垂直方向に引き抜きますが、
もしも、金型の穴にぴったりの立方体があったとしたら、「金型の壁面」と「立方体の側面」はぴったりと密着していることになり、これでは抜くことができません。

これを解消するためには、本来は垂直になる面でも、ほんの少しだけ外側に向かって斜めに広げておくことが必要になります。
つまり、本来は真四角の成形物でも、やむなく台形にせざるを得ないのです。
この斜めになった部分が「抜けテーパー（抜き勾配）」と呼ばれる部分で、これはプラスチック成型では避けられない仕様となります。

組立てモデルの場合、パーツ同士の接合する面に「抜けテーパー」が付いていると、本来なら組み立て時にぴったり接合する部分が、テーパーの付いた分だけ隙間ができてしまいます。

（※精密金型や多方向開き金型を使うと解消できますが、高コストになってしまうので「こんてにゃあ」では、ごめんなさい。）

「こんてにゃあ」でも、いくつかの接合面に「抜けテーパー」が付いていますので、この部分ではパーツ同士に若干の隙間があったり、パーツがしっかり奥まで入らなかったりします。

これを解消する方法は、接合面に影響している「抜けテーパー」部分を削れば良くなります。
小さい「平やすり」などを使って接合面を整えてください。
また、表面のディテールや塗装を傷つけないように注意してください。必要な表面を削ってしまわないように、奥に向かって斜めに（テーパーとは逆の斜めに）削るのが良い方法です。
なお、「抜けテーパー」の誤差は大きくても０．２ｍｍ以下ですので、削り過ぎないように注意してください。

「こんてにゃあ」では、側面パーツが前後妻面と接合する部分の「抜けテーパー」が広く、そのまま組むとちょっとだけ妻面が浮き上がったように見える場合があります。

下の図で「赤」で示した面が、組み立て時に「抜けテーパー」が影響する部分ですので、もしも気になる時には、この部分のテーパーを慎重に削ってから組み立ててください。

なお、冷蔵コンテナＲ１０形式（前期・中期）では、コンテナ本体が板をはみ出した構造をしているため、両妻面が側面，屋根よりも引っ込んだ形状になっています。なので、抜けテーパーによる外観上の問題はありません。
また、Ｒ１３形式（Ｒ１０形式・後期）では、側面、妻面に鉄板が貼り重ねられた構造になっているため、屋根周囲よりも側板・妻板が板厚分はみ出た形状になりますので、こちらも外観上の問題はありません。

最近の「プラ製・組立てモデル」では、嵌合部（ピンと穴を接合させる部分など）によって、接着剤を使わなくともパーツ同士を接合することができます。

実は金型を製作する場合、最初から勘合がピッチリの状態で彫刻するのではなく、嵌合する部分ではわざと隙間を大きく作って緩い状態にして彫刻します。その後徐々に金型を削りながら隙間を埋めていく調整をしていきます。

このとき、嵌合する部分は完成後には見えない部分ですから、嵌合がきちんと機能するならば外観は多少乱れていても構いませんし、最小限の加工で済ませれば良いわけです。
なので、修正する箇所は後加工で線状や点状に金型を加工をして調整をするわけです。
勘合のために付けられたリブを「嵌合リブ」とも呼びます。

この嵌合リブの調整は、金型加工では最後の方に調整をする箇所です。
実際にテスト成形をして、試し組みをしてみて、嵌合が緩かったら少しだけ金型を削ってリブを大きくする。そしてまたテスト成形をして組み立ててみる・・・、を繰り返して調整します。
ほとんどの場合、この作業は金型職人の手作業で調整していきます。なので、若干のズレが出ることもあります。

「こんてにゃあ」Ｃ１０形式，Ｃ１１形式では、少しだけ「嵌合リブ」の誤差が出ている部分があって、組立てたときに妻板と屋根との隙間が、ほんの少し斜めに見える場合があります。

これを解消する方法は、誤差になっている「嵌合リブ」を削って調整することになります。
「嵌合リブ」を削ってしまうと、嵌合自体が緩くなってパーツを保持できなくなるのですが、「こんてにゃあ」の妻板の場合は「嵌合リブ」が４組あるので、２組までは緩くなっても大丈夫です。

隙間が気になる方は下の図のように、扉側「Ｆ」の「嵌合リブ」は左列の下側、非扉側「Ｒ」の「嵌合リブ」は左列の上側を削ってから組み立てててみてください。
どちらの妻板も、右列の「嵌合リブ」をそのまま残しておくことで、通常通りに接着剤なしでパーツの保持・組立てができます。

冷蔵コンテナＲ１０形式，Ｒ１３形式では、左右の側面を同じパーツで組み合わせるので、リブによるの誤差はありません。

これらは、「こんてにゃあ」に限らず、ほとんどの「金型＋射出成型」によるプラ製品に共通の事項です。

もちろん「こんてにゃあ」では、そのまま無修正で組んでも問題は無い程度に調整をしていますが、ユーザー組立て方式のために各面の接合部に誤差が生まれやすくなります。
逆に、「こんてにゃあ」の場合、簡単な構造の四角い箱状になっているので、ちょっとした誤差や隙間が目立ちやすいみたいです。

どうしても気になるのならば、上記の方法である程度の解決が出来るのでお試しください。
また、技量のある方ならば、「抜けテーパー」部も「嵌合リブ」もすべて削り直してしまい、接着剤を使って組立てる方法にすれば、よりピッタリに隙間なく組立てることも可能です。